売却を検討している土地が隣地や道路より高い、または低い位置にある場合、通常の平坦な土地と比べて売却価格や売却方法に違いがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
高低差のある土地は、眺望やプライバシーの確保といった魅力がある一方、擁壁の状態や建築時の造成工事など、購入希望者が確認したいポイントもあります。
また、土地の形状や高低差によっては、いわゆる「がけ条例」などの建築に関する規制が関係する場合もあります。
今回は、隣地と高低差のある土地のメリット・デメリットや、売却前に確認しておきたい建築上の制限について解説します。
隣地と高低差のある土地とは?
隣地と高低差のある土地とは、隣接する土地や前面道路と比べて、敷地の地盤面が高い、または低い位置にある土地のことです。
道路より敷地が高い「高台の土地」や、道路より敷地が低い「低地の土地」などが該当します。
高低差が生じている理由は、もともとの地形によるものだけでなく、造成工事によって土地の高さを変えているケースもあります。
また、高低差を支えるために擁壁や土留めが設置されている土地もあります。
高低差のある土地を売却する際は、単に土地の高さだけでなく、敷地の形状や道路との接し方、擁壁の状態、建物を建築する際の条件などを確認することが大切です。
隣地と高低差のある土地を売却するメリット・デメリット
高低差のある土地には、平坦な土地にはない魅力がある一方、購入後の建築や日常生活に影響する注意点もあります。
【メリット】
1.日当たりや風通しを確保しやすい場合がある
周囲の建物や土地より高い位置にある場合、隣接する建物の影響を受けにくく、日当たりや風通しを確保しやすいことがあります。
ただし、実際の日照や通風は周辺建物の高さ、方角、敷地の形状などによって異なります。
2.眺望や開放感を得られる場合がある
高台に位置する土地では、周囲の景色を見渡せることがあります。
隣接する土地との高低差によって視線が抜け、開放感を得られる点は、立地や周辺環境によって購入希望者へのアピールポイントになります。
3.プライバシーを確保しやすい場合がある
隣地より高い位置に建物を建てる場合、隣家の窓や通行人から室内を見られにくくなることがあります。
ただし、建物の配置や窓の位置によっては視線が気になることもあるため、現地での確認が必要です。
【デメリット】
1.階段や坂道の移動が負担になることがある
道路と敷地に高低差がある場合、敷地に入るまでに階段やスロープを利用する必要があります。
日常の買い物や荷物の運搬、車いすやベビーカーでの移動などに不便を感じる場合があるため、購入希望者の生活スタイルによって評価が分かれることがあります。
2.建築や造成に追加費用がかかる場合がある
高低差のある土地では、建物の配置や基礎工事、造成工事、擁壁の設置・補修などが必要になることがあります。
そのため、平坦な土地と比べて建築計画に制約が生じたり、工事費用が増加したりする可能性があります。
3.擁壁の状態や安全性の確認が必要になる
敷地内や隣地との境界に擁壁がある場合は、その構造や劣化状況、築造時期、確認申請・検査済証などの資料の有無を確認することが重要です。
擁壁の状態によっては、補修や造り替えが必要になる可能性があり、買主の購入判断や資金計画に影響することがあります。
このように、高低差のある土地は一概に売却しにくいとは限りません。土地の特徴や安全性、建築計画の見通しを整理し、購入希望者に正確に伝えることが大切です。
高低差のある土地の売却で注意したい「がけ条例」とは?
高低差のある土地を売却する際は、建築に関する規制についても確認しておきましょう。
その一つとして、一般に「がけ条例」と呼ばれる、がけ付近に建築物を建てる場合の制限があります。
がけ条例とは、がけ崩れなどによる建築物への被害を防ぐため、がけの近くに建物を建築する際の位置や構造などについて定めた自治体の条例を指す通称です。
正式な条例名や対象となるがけの高さ・傾斜角度、建物との距離、必要な安全対策などは自治体によって異なります。
そのため、「高低差が2m以上で傾斜角度が30度を超えていれば、全国一律でがけ条例の対象になる」というわけではありません。
例えば、自治体によっては高さや傾斜角度の基準が異なり、がけの上側・下側のどちらに建物を建てるかによっても制限の内容が変わる場合があります。
また、大阪府内でも、自治体や区域によって適用される規定が異なります。大阪府の公式FAQでは、府が特定行政庁となっている市町村には、府のがけ条例はないと案内されています。ただし、土砂災害特別警戒区域や災害危険区域など、別の規制が関係する場合があります。
堺市内の土地についても、敷地の状況や開発・造成に関する基準などを個別に確認する必要があります。
がけ付近に建築する場合、敷地の状況や適用される規定によっては、擁壁の設置や補強、建物の配置・構造上の工夫などが必要になることがあります。
既存の擁壁があるからといって、必ずしも建築上の安全性や適法性が確認できるわけではありません。擁壁の図面や検査済証などの資料を確認し、必要に応じて建築士や自治体の建築指導担当窓口へ相談しましょう。
高低差のある土地を売却する前に確認しておきたいこと
高低差のある土地をスムーズに売却するためには、土地の状況や建築上の条件を事前に整理しておくことが重要です。
1.擁壁の資料や状態を確認する
擁壁が設置されている場合は、築造時期や構造、工事に関する図面、確認申請書、検査済証などの資料が残っているか確認しましょう。
資料がない場合や劣化が見られる場合は、専門家による調査が必要になることもあります。
2.土地と道路・隣地との高低差を把握する
敷地と道路、隣地との高低差や、擁壁の位置・高さなどを把握しておくと、購入希望者に土地の状況を説明しやすくなります。
必要に応じて測量図や現況図なども確認しておきましょう。
3.建築や造成に関する制限を確認する
用途地域や建ぺい率・容積率だけでなく、がけに関する規定、土砂災害警戒区域等の指定、宅地造成及び特定盛土等規制法に関する規制なども確認が必要です。
土地の所在地や形状によって確認すべき内容が異なるため、自治体の担当窓口や建築士などに相談するとよいでしょう。
4.土地の特徴を踏まえて売却価格を検討する
高低差のある土地は、眺望や日当たりなどの魅力が評価される場合もあれば、擁壁の補修費用や建築上の制約が価格に影響する場合もあります。
周辺の取引事例だけでなく、土地の個別条件や想定される工事費用も踏まえて価格を検討することが大切です。
まとめ
隣地と高低差のある土地には、眺望や日当たり、プライバシーを確保しやすいといったメリットがある一方、階段・坂道の移動や建築費用、擁壁の安全性などの注意点もあります。
また、がけ付近の建築に関する規制は自治体によって異なるため、高低差の数字だけで判断せず、土地の所在地や形状に応じて確認することが重要です。
売却前に擁壁の資料や建築上の制限を整理しておくことで、購入希望者にも土地の状況を説明しやすくなります。
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