「根抵当権」と「抵当権」はよく似た言葉ですが、実際には異なる性質の担保物権です。
根抵当権つきの不動産を売却するときには、それを理解しておかないとトラブルが発生する可能性もあります。
そこで今回の記事では、根抵当権の特徴をはじめ、根抵当権つきの不動産を売却するときの流れや注意点について解説します。
根抵当権つきの不動産を売りたい方は、ぜひ参考になさってください。
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不動産売却における根抵当権の特徴
「根抵当権」とは、借り入れなどの担保として設定される担保物権の一種です。
設定時には「極度額」(債務の上限金額)が定められ、この範囲内であれば金額や回数に関わらず借り入れが可能です。
おもに事業者向けに設定されますが、個人の不動産契約にも影響する場合があります。
根抵当権の特徴は、大きく分けて2つです。
特徴①:何度でも借り入れができる
根抵当権は、極度額までの範囲内で何度でも借り入れや返済が可能です。
たとえば、極度額が1,000万円の場合、最初に500万円を借り入れ、必要に応じて残りの500万円まで追加で融資を受けることができます。
また、一度融資を全額返済しても、根抵当権は消滅しません。
抵当権と異なり、根抵当権は残ったままですので、再び借り入れをおこなう際にもスムーズに融資を受けることができます。
特徴②:登記の手続きと費用が省ける
抵当権を設定する場合は、設定登記が必要です。
この際、登録免許税が発生し、借り入れ額の0.4%(2027年3月31日までは軽減措置で0.1%)に相当する金額を法務局に支払います。
同じ不動産に何度も融資を受ける場合は、都度設定登記と登録免許税の支払いが必要です。
さらに、司法書士に手続きを依頼する場合は手数料もかかります。
一方で、根抵当権は最初の設定登記だけで、何度でも融資が受けられますので、手続きと費用が省けます。
「根抵当権」と「抵当権」の違いとは?
根抵当権と抵当権の大きな違いは、何度も融資が受けられ、随伴性がない点です。
抵当権とは、住宅ローンなどで購入する土地や建物に設定される金融機関の権利です。
支払いが困難になると、抵当権が行使され、対象の不動産は競売にかけられます。
抵当権はローン完済で消滅しますが、根抵当権は前述した通り、根抵当権は残ったまま複数回の融資が可能です。
また、根抵当権には「抵当権の随伴性」がなく、譲渡された債権では行使できません。
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根抵当権つきの不動産売却の流れ
根抵当権つきの不動産は、根抵当権者(債権者)が抹消に応じてくれなかったり、手数料や違約金がかかったりするため、一般的に売却が難しいとされています。
したがって、不動産を売却する際には、根抵当権を抹消する手続きが必要です。
通常の抵当権の場合、ローンを完済すると抹消手続きが可能ですが、根抵当権の場合は、債務がゼロでもいつでも借り入れできる契約が残るため、抹消手続きには時間と手間がかかります。
続いて、根抵当権つきの不動産売却の流れについて詳しく見ていきましょう。
売却の流れ①:不動産の査定額と残債務を確認する
根抵当権の抹消手続きでは、抵当権の場合と同様に、まずは不動産の査定額と残債務から確認します。
通常の抵当権の場合、不動産の売却代金でローンの残債を完済できれば、抹消手続きが可能です。
しかし、根抵当権の場合、ローンの残債がゼロでも、当事者同士の合意がなければ抹消できません。
そのため、不動産を売却してもローンの残債を完済できたとしても、金融機関との抹消の交渉が必要です。
なお、不動産を売却してもローンを完済できない場合は、抵当権であれ根抵当権であれ、基本的に売却できません。
この場合、別の不動産を担保として提供したり、任意売却制度を活用したり、住み替えローンを検討したりして、金融機関との交渉が必要です。
売却の流れ②:根抵当権者(債権者)と交渉する
残債の返済が見込める場合は、根抵当権者(債権者)である金融機関との交渉に入ります。
金融機関にとって、根抵当権のある不動産への融資は利益が見込めるため、すぐに抹消には応じてくれないでしょう。
しかし、抹消には合意が必要ですので、合意が得られるまで粘り強く交渉を続けます。
売却の流れ③:元本確定の手続きをおこなう
金融機関との交渉が合意に達し、根抵当権を抹消するときには、「元本確定」という手続きが必要です。
元本確定とは、これまでの借り入れと返済を止め、現時点での借入残高を明確にすることです。
元本確定後は新たな借り入れが制限されます。
つまり、元本確定後は根抵当権が抵当権と同様の性質を持ち、ローンを完済することで確定根抵当権を抹消できるようになるわけです。
また、元本確定をする場合、民法に定められる「元本確定事由」に該当する必要があります。
売却の流れ④:不動産の売却と根抵当権の抹消をする
根抵当権者(債権者)との合意が取れ、購入希望者が現れたら、根抵当権を抹消登記して不動産の売却手続きを進めます。
「根抵当権の抹消登記」を法務局に申請する必要がありますので、引渡し前に手続きを完了させることが重要です。
抹消登記の方法
抹消登記は自力でも可能ですが、手続きに手間がかかるため、司法書士に依頼することをおすすめします。
司法書士に抹消登記を依頼するときの費用は1~3万円程度で、10日~1か月程度かかります。
根抵当権抹消までの流れは、以下のとおりです。
●根抵当権者(債権者)から送付された必要書類を確認する
●書類を司法書士に提出し、委任状に捺印する
●司法書士が不動産を管轄する法務局で登記申請をおこなう
●申請から1週間?10日ほどで、根抵当権抹消登記が完了する
●完了後、返送された書類を受け取る
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根抵当権つきの不動産売却の注意点
最後に、根抵当権つきの不動産を売却するときの注意点を3つ確認しておきましょう。
注意点①:不動産の所有者と債務者が異なるとトラブルになる可能性がある
根抵当権が設定された不動産では、所有者と融資を受けた債務者が異なることがあります。
このケースでは、借り入れ額が知らぬ間に増加している可能性があり、不動産を売却しても債務を返済できない恐れがありますので、注意が必要です。
注意点②:一度元本が確定すると根抵当権に戻せない
根抵当権は元本確定後、抵当権と同様に扱われます。
一度元本確定すると、抵当権から根抵当権に戻せません。
不動産を売却する際や、根抵当権を担保としないのであれば問題ありませんが、将来的に根抵当権を利用する必要がある場合は注意が必要です。
注意点③:手続きが長引くと複雑になる可能性が高まる
根抵当権抹消手続きにおいて重要なのは、住宅ローンなどの債務を完済した後、できるだけ早く手続きをおこなうことです。
手続きが長引くほど、その分手続きが複雑になる可能性が高まります。
たとえば、手続き中に借り入れ先の金融機関が変更されると、書類の再発行が必要です。
また、手続きが遅れると根抵当権抹消にくわえて、相続登記や住所変更などの複雑な手続きが追加されるかもしれません。
金融機関が発行する資格証明書の期限が切れる前に、手続きを済ませることが重要です。
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まとめ
根抵当権は極度額内で何度でも借り入れが可能で、抹消手続きには元本確定が必要です。
これが完了すると根抵当権は抵当権と同様の扱いになりが、手続きが長引くと複雑になるため、不動産売却時には早めの対応が重要です。
また注意点として、所有者と債務者が異なる場合や、一度元本が確定すると戻せない点も理解しておきましょう。
このブログの担当者✎
様々な情報を発信していきます(^^)!
私自身、学生の頃から不動産会社のチラシを見ることが好きだったこともあり、大手不動産会社で賃貸仲介業務に携わり、その後、外資系不動産会社にて海外富裕層のお客様向けに不動産売買のお手伝いを行ってきました。
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