家族信託とは、家族に財産管理を任せる制度で、認知症対策として注目されています。
財産を減らさないことが重視される成年後見制度よりも柔軟な財産管理ができ、遺言機能も備えているため、相続対策や終活として利用が増加しています。
この記事では、相続対策として家族信託をご検討の方に向けて、家族信託の概要、メリット、デメリットを詳しく解説します。
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相続対策のひとつである「家族信託」とは?その概要について
家族信託とはどんなものなのか、その概要について解説します。
家族信託とは?
家族信託とは、信頼できる家族を介した財産管理のひとつの手法です。
この方法では、財産の所有権を「利益を享受する権利(財産権)」と「財産の管理・運用・処分する権利」に分け、後者の権利を子どもに委ねることができます。
親が認知症になったり、介護が必要で財産を管理できなくなったりしたときも、子どもが信託された財産を管理や運用、そして処分することができます。
家族信託の仕組み
家族信託は、基本的に「委託者」「受託者」「受益者」で構成されています。
●委託者:元の財産所有者で信託を設定する方
●受託者:財産の管理・運用・処分を任される方
●受益者:財産権を持ち、財産から利益を受ける方
委託者が財産の管理を受託者に委ね、受益者がその財産から得られる利益を受け取る仕組みです。
家族信託では、親が委託者かつ受益者であり、子どもが受託者となるケースが一般的です。
家族信託が注目される理由
家族信託は2006年の信託法改正に伴い、2007年に施行された制度です。
初期の利用者は少なかったものの、認知症リスクの増大とともに注目されるようになりました。
厚生労働省がまとめた「認知症施策推進大綱」によると、2025年には高齢者の約20%が認知症になると推計されており、将来的にその割合は増加すると見込まれています。
さらに、2012年時点で高齢者の4人に1人が認知症予備軍(MCI)とされ、対策の必要性を感じる方々が増えたことから、家族信託の利用も増加しました。
家族信託の活用ケース
ケース①:祖父母や両親の認知症対策
家族信託の最大のメリットは、祖父母や両親が認知症になった場合でも、子どもが金銭や不動産の管理・処分をおこなえる点です。
売買代金や金銭は、財産権を持つ祖父母や両親のために使われます。
ケース②:高齢の委託者に代わる収益不動産の管理
たとえば、父親が収益物件を所有している場合、家族信託を利用して子どもにその不動産を託すことで、父親が認知症になっても事業の継続が可能です。
父親は煩雑な管理を子どもに任せつつ、収益を受け取ることができるため、安心して生活を送ることができます。
ケース③「親亡き後問題」への対応
障がいのある子どもを持つ親にとって、親亡き後の生活が心配です。
この場合、家族信託を活用して子どもの生活を支援する仕組みを整えることができます。
たとえば、兄弟姉妹に財産を信託し、親が亡くなった後はその財産から子どものためにお金を使ってもらうことができます。
子どもが亡くなった後の財産は、世話をしてくれた兄弟姉妹や施設に寄付することも可能です。
親が亡くなった後の対応をあらかじめ決めておけるのは、信託ならではのメリットです。
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相続対策のひとつ!家族信託のメリットとは
家族信託には多くのメリットがあります。
続いて、とくに重要な6つのメリットを解説します。
メリット①:判断能力に左右されない財産管理
家族信託が普及している背景には、親が認知症になった際に財産が凍結される問題があります。
親が認知症になると預金口座が凍結され、不動産の売却も困難です。
成年後見制度はひとつの対策ですが、親族が後見人に選ばれるとは限らず、制約が多いため使いづらいこともあります。
家族信託では、子どもに財産の名義を変更して広範な裁量を持たせることで、親の認知症に備えた財産管理が可能です。
メリット②:意向通りに財産承継できる
家族信託は遺言機能も持ち、信託契約内で次の財産権の承継者を定めることができます。
さらに、二次承継者や三次承継者も指定できるため、これは遺言書では実現できない大きなメリットです。
メリット③:遺族がハイリスクな不動産の共有を避けられる
家族信託は、兄弟間で共有している収益不動産にも有効です。
たとえば、兄弟A、B、Cがそれぞれ3分の1ずつ所有する不動産がある場合、1人が認知症になると全員の意思が必要となり、共有不動産が凍結するリスクがあります。
家族信託を活用してBとCの持分をAに信託することで、Aが単独で管理し、全員が家賃収入を得られます。
メリット④:柔軟な財産管理ができる
家族信託は成年後見制度よりも柔軟に財産を管理できます。
成年後見制度は財産を減らさないことが重視され、将来の投資が制限されますが、家族信託では子どもに広範な裁量を与え、積極的な経営や投資が可能です。
ただし、信託をおこなう際には子どもとの信頼関係が重要です。
メリット⑤:相続手続きの簡略化
家族信託契約で承継者を決めておくことで、相続発生時の遺産分割協議が不要になります。
相続人全員の協議が不要となるため、相続手続きがスムーズに進みます。
親が事前に財産の承継を決めておくことは、相続争いや認知症による財産凍結を防ぐ有効な方法です。
メリット⑥:倒産隔離機能が使える
受託者である子どもが破産しても、子どもの債権者は信託財産を差し押さえることができません。
信託財産は子どものものではなく、財産権を持つ親のものだからです。
これを「倒産隔離機能」と呼びます。
しかし、親が受益者の場合、親の債権者は「信託受益権」を差し押さえることができるため、信託財産に影響する可能性があります。
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相続対策のひとつ!家族信託のデメリットとは
最後に、家族信託の5つのデメリットを解説します。
デメリット①:身上監護には成年後見制度が必要
家族信託は万能ではなく、身上監護権を持ちません。
たとえば、親が認知症になり施設に入居する場合、受託者である子どもが親の代理で入居契約を結ぶことはできないのです。
家族信託は財産管理に特化した制度であり、親の代理として入居契約を結ぶ権限はありません。
身上監護も必要とする場合は、任意後見契約を結ぶことが推奨されます。
デメリット②:受託者を巡る争いの可能性がある
家族信託では、受託者に財産の管理・運用の権限が集中します。
受託者に選ばれなかった親族は、信託財産を相続する可能性が低くなるため、受託者に対して嫉妬や不満が生じることがあります。
そのため、家族信託を利用する際には、受託者以外の親族への配慮が必要です。
デメリット③:祖父母や両親の同意を得にくい
家族信託の中心となるのは祖父母や両親であり、彼らの理解と同意が不可欠です。
しかし、家族信託は複雑で理解しにくい制度であるため、「面倒だからやりたくない」と拒否されることがあります。
また、不動産の名義が子どもに変わることに対する不安も生じる場合があります。
デメリット④:直接的な節税対策にならない
家族信託自体には、相続税の直接的な節税効果はありません。
不動産の名義は子どもに変更されますが、財産権(受益権)は親に残ります。
そのため、信託しても財産の評価は変わらず、親の相続時には相応の相続税を納付する必要があります。
デメリット⑤:遺留分侵害額請求の可能性がある
家族信託契約で決めた後継者に受益権を承継する際、遺留分を持つ相続人が遺留分相当額を請求してくることがあります。
遺留分侵害額請求は家族間のトラブルを引き起こす可能性があるため、対策として、遺留分が発生しないような信託の設計や、事前の家族会議をおこないましょう。
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まとめ
家族信託とは、財産管理を家族間でおこなう制度で、財産権を享受する親と、財産を管理する子に権利を分ける仕組みです。
主に認知症対策や不動産管理、障がい者支援に利用され、柔軟な財産管理と相続対策ができます。
しかし、成年後見制度の補完が必要な場合や、受託者選定を巡る争い、制度への同意を得にくいといった課題もあるため、この制度を活用する際には内容をよく理解した上でおこないましょう。
このブログの担当者✎
様々な情報を発信していきます(^^)!
私自身、学生の頃から不動産会社のチラシを見ることが好きだったこともあり、大手不動産会社で賃貸仲介業務に携わり、その後、外資系不動産会社にて海外富裕層のお客様向けに不動産売買のお手伝いを行ってきました。
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